「田坂マネジメントシステム研究所」ホームページ、リニューアルオープン
「田坂マネジメントシステム研究所」としての、新しいホームページを立ち上げました。
今までのホームページは閉鎖しました。
現在の「田坂マネジメントシステム研究所」のホームページのリニューアルを計画しています。
今日は、「ちょロジ~ニュースから学ぶ7つの思考法」(有賀正彦・著、パブラボ、1575円(税込))という本を紹介したいと思います。
「ちょロジ」とは、「ちょっとロジカル・シンキング」の略です。ロジカル・シンキングは、日本語にすれば「論理的思考」になります。
私は、ロジカル・シンキングを心掛けているつもりですが、この本で、新しい視点・ヒントを多く得られました。
私にとって、この本の“最重要キーワード”は「置換力」と思います。
「置換力」は、著者の有賀正彦さんによる造語で「成功事例や失敗事例から導きだされた法則を自らの環境に置き換えて咀嚼(そしゃく)し適用する力」と説明されています。
この本では、全7章のうち、最初の6章でロジカル・シンキングに役立つ「ツール」が紹介されています。いろいろな「ツール」を身につけても、自分に役立てたい具体論に置き換えて活かさないことには役立たない、自分に役立つ具体論に役立てるには「“置換力”を鍛えるトレーニングを日頃から積むことが重要」と書かれています。
私は、中小企業診断士の受験勉強時に、6章までに紹介された「ツール」で既に勉強したものがありましたが、知らない「ツール」「切り口」がたくさんありました。
私が“特に重要・興味深い”と感じた「ツール」は、下記3点です。
1.「心理的スペースの無駄」
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は有名ですが、「心理的スペースの無駄」を整理するという考え方は初めて知りました。仕事に集中しようにも、プライベートなこと等が頭にあると、集中できません。実践していきたいです。
2.謝罪に含めるキーワード「社長限界でしょ」
不祥事を起こして謝罪するときに含めるべきキーワード、面白い切り口です。不祥事の謝罪会見を、この視点で分析したいと思います。
ちなみに、「社」:被害者への“謝”罪、「長」:“調”査結果の報告、「限」:“原因”の明示、「界」:“改”善策の提示、で「しょ」:“処”分・賠償、の頭文字です。
3.脳の活性化のための「3つの思考」
①解答は必ずしもない
②常識を疑え
③部分的なもので全体を測るな
「もっと良い方法があるのでは」「改善の余地があるのでは」という思考をしていくには、印象に残る切り口です。
他には「ISO思考」「勝者と敗者の違い(10の法則)」、「組織改革の7つのS」「問題に気付くための4つの視点」「国語評論的議論」も印象深いです。
また、p77には「有名なフレームワーク」の一覧(合計13のフレームワーク)が掲載されています(例、環境分析3C、Customer市場・顧客、Competitor競合、Company(自社))。
私は本や資料を読むと、後で「重要なページ」を速く見ることができるように「付箋」を貼ります。この本は24枚もの付箋を付けました。24本のうち、9本は「特に重要」とわかるようにオレンジ色、他は黄色で「色分け」しています。
著者の有賀正彦さんは、同業者であるだけに、考え方の方向性が似ているように感じています。有賀さんの本は「不祥事を止めるISO思考」も読みました。
私も、この本で学んだ「ツール」を活かし、「置換力」を高めるトレーニングをしたいと思います。
ロジカル・シンキングにとどまらず、“できるビジネスマン”になるための実践的な参考書として推薦したいと思います。
日本の食品業界には、「1/3ルール」という商習慣があります。
すなわち、賞味期限の「1/3」ずつ過ぎると、返品や廃棄されてしまうのです。
例えば、製造日から賞味期限が6ケ月であるとしましょう。製造日が2012年9月1日だとすると、賞味期限が2013年3月1日になります。6ケ月の1/3となる「2ケ月」以内に卸売業者に売れない場合は、まだ賞味期限が残り「2/3の4ケ月間」残っていても、返品や廃棄されてしまいます。
同様に、卸売業者からは、「2/3が経過した」2013年1月1月までに販売されないと、返品や廃棄となってしまいます。
「食品メーカー」 → 「卸売業者」 → 「小売業者」 → 「消費者」
2012年9月1日 2012年11月1日 2013年1月1日
これは、たいへんに「もったいない」商習慣です。
日経エコロジー12月号や、11月20日放送のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」によれば、10月から農林水産省が、「1/3ルール」の見直しに着手したそうです。
また、伊藤忠食品㈱が「Ecoモッタイナイ.com」(http://tabemart.com/)というWebサイトを立ち上げており、まだ賞味期限が十分に残っている「訳あり食品」を、メーカーと小売業者をマッチングさせる取組を開始しています。
ワールドビジネスサテライトで紹介された、松坂屋デパートの「訳あり商品セール」では、卸売業者への1/3が過ぎた「訳あり商品コーナー」が大人気とのことでした。
賞味期限が2014年になっている食品があり、このような食品が廃棄されることもある
とは、困ったものです。
ビール業界では、「1/3」を「4/9」に緩和する動きが始まっているようですが、賞味期限のあり方そのものや、包装材料の進化による賞味期限期間の長期化を考えていく必要もあると思います。
農林水産省のホーム―ページ(http://www.maff.go.jp/j/fs/f_label/f_processed/limit.html)によれば「賞味期限」は、
「開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、おいしく食べられる期限を示しています。賞味期限内においしく食べましょう。ただし、賞味期限を過ぎても食べられなくなるとは限りません。」
と記載されています。
似た用語として、「消費期限」は、
「開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、食べても安全な期限を示しています。消費期限内に食べるようにしましょう。」
と記載されています。
「賞味期限」「消費期限」の意味を考えて、消費者も、やみくもに期限にこだわりすぎないことも重要と思います。
9月29日(土)に、日本触媒㈱姫路工場で、爆発事故がありました。
この事故により、同社のアクリル酸及び吸水性樹脂(アクリル酸系ポリマー/高分子化合物)の生産がストップしています。
生産再開には、かなりの時間が必要と思われます。
吸水性樹脂で高いシェアを持つ日本触媒㈱の事故なので、吸水性樹脂を使った製品(紙おむつ、生理用品、尿もれパッド等)への影響が出ると思います。
吸水性樹脂は、生理用品(ナプキン)の分野で、長く使われています。紙おむつの普及・増加に伴い、いまでは吸水性樹脂の使用量は、紙おむつの用途での使用量の方が最も多いと思います。
吸水性樹脂は、赤ちゃん用の紙おむつだけではなく、日本の高齢化社会の到来に伴い、介護用紙おむつ、尿取りパッド等にも使用されています。
テレビのニュースや新聞記事では、同社から吸水性樹脂を購入しているP&G社への影響が報道されています。ほとんどの記事は「紙おむつ」に影響が出るところまでしか書いてありません。日経新聞電子版では、一つだけ、「吸水性樹脂が生理用品に使用されている」旨が記載してある記事があります。
上記の通り、吸水性樹脂が使用されている製品は、「紙おむつ」だけではありません。私の家には、赤ちゃんも老人もいないので、影響が出るのは、妻の「生理用品」です。妻には、「今のうちに、生理用品を多めに買っておくように」と指示?したので、早速買ってきていました。
今日の仕事の帰りに、私は、近所のドラッグストアT、ドラッグストアS、スーパーK、スーパーT、スーパーSを視察してきました。
まだ紙おむつ等が品薄になっている様子はありませんでした。ベテランでよく知っていそうな店員さんを選んで、「突撃?インタビュー」してみました。今日の時点では、「紙おむつ」等が急に売れているという状況にはなっていないようです。
今日の仕事の訪問先は、ソフトウェア開発業でした。今日は、いわゆる“現場”では見るものが少なかったので、消化不良だったのでしょうか!?帰りに小売業の店に寄って、店員インタビューするという「審査員/コンサルタントの職業病」かもしれません。
はてさて、特に日本触媒㈱から多くの吸水性樹脂を購入しているP&G社は、「事業継続計画(BCP)」にこのような事態を想定しているのでしょうか。
事業継続マネジメントシステム(BCMS)のISO規格(ISO22301)が今年の5月に発効しましたが、BCPまでは作成しても、BCMSの認証まで取得する企業は少ないのが現状です。
今後、紙おむつや生理用品、介護用品が品薄になったり、価格が上がるという事態が起こると、私は予想しています。今後、具体的に、どのような影響が出るのか、注目したいと思います。
私の記事を読んで、紙おむつや生理用品が品薄になる、あるいは、価格が上がる前に行動しようと思われる方は、ご検討ください。
マスコミが騒ぎだすと、東日本大震災後のスーパーから水や電池が消え去るといった状況になるかもしれません。皆さん、落ち着いて行動しましょう。
改訂されたISO19011:2011(JISQ19011:2012)について、紹介したいと思います。
この規格は、「マネジメントシステム監査のための指針」というタイトルに代わりました。2003年版では、「品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針」で、品質と環境だけが対象でしたが、全てのマネジメントシステムへの適用が広がったわけです。
また、「審査登録機関による審査」の規格は、ISO17021に統一されていますので、ISO19011の対象から、「審査登録機関による審査」は外れた点に注意してください。つまり、内部監査(第1者監査)や取引先の監査(第2者監査)が主な対象です。
ただし、ISO19011が、「審査登録機関による審査」の参考になることは、言うまでもありません。
その他に、私がポイントと思う点は、下記7項目です。
①「有効性監査」の視点強化
内部監査をしていても、効果が上がらないという声を耳にします。「手順通りやっているか」ではなく、「この手順で良いのか」という視点まで踏み込むための内容が盛り込まれました。
②トップマネジメントの関与の強化
内部監査では、トップ(社長等)が関与しないと、うまく機能しないことから、トップマネジメントという単語が登場する機会が増えています。
③リモート監査(遠隔監査)の観点導入
現地訪問審査が基本ですが、ITの発達により、コンピュータやテレビ会議といったツールを使った監査「リモート監査(遠隔監査)」の観点が導入されました。
④監査のリスクの観点導入
監査に関するリスクについての観点が導入されました。例えば、監査チームの知識が足らないことによって、十分な監査ができないリスクを回避するといった点です。
⑤監査員の力量
品質、環境以外に適用が広がったことにより、共通する力量と各分野の力量の内容が充実しました。
⑥情報セキリュティの観点導入
情報セキュリティの重要性が高まっているので、この観点も盛り込まれました。
⑦「優れた実践」の観点導入
監査が「アラ探し」になっていると、受ける側も構えてしまいます。「良い点(優れた実践)」は、積極的に褒める、他の部門へ展開する、といった観点が盛り込まれました。
上記のようなポイントを踏まえ、特に内部監査の「有効性向上」に活用して頂きたい規格です。
昨日のテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」を観ておりました。
ニュースの中で、飲料用PETボトルを回収して、再び飲料用PETボトルを製造する「リサイクル」が紹介されました。
レポーターの女性が「飲料用PETボトルは、飲料用PETボトルにリサイクルされていると思っていましたが、まだ始まったばかりと知って驚きました」という趣旨のコメントをしていました。
私は、「ああ、そうか。環境問題に詳しくない一般の人の認識は、飲料用PETボトルが、ほとんどが再び”飲料用PETボトル”にリサイクルされていると思っているということか」と感じました。飲料用PETボトルが、飲料用PETボトルにリサイクルされている比率は、10%くらいという報道でした。
このブログで、以前に「リユース(再使用)」「リサイクル(再利用)」について書きました。飲料用PETボトルは、大部分が服(ポリエステル)、部品、台所用洗剤PETボトル、固形燃料等にリサイクルされています。飲料用PETボトルにリサイクルされるようになったのは、「ニュース」という段階です。
今まで飲料用PETボトルにリサイクルできなかった理由は、飲料用としてリサイクルするには、洗浄等のコストがかかりすぎて、採算が合わなかったからです。技術の進歩により、ようやく道が拓けてきたのです。
環境先進国と言われるドイツでは、PETボトルは10回ほど「リユース(再使用)」されてから、リサイクルに回ります。
ドイツのPETボトルは、日本のPETボトルより肉厚で、頑丈な作りになっています。「リユース」する段階で、「白い筋」が入ってきますが、ドイツ国民は、そんなことは気にしないようです。
見た目に厳しい日本の消費者には、なかなか受け入れられないようです。日本ではPETボトルの「リユース」は、あまり普及していません。以前にドイツ系の審査機関に勤めていたころには、ドイツ人の同僚から「日本では、なぜPETボトルをリユースしないのか?」と質問をよく受けました。
日本では、かつては、ビール瓶という「リユース」(洗浄して再使用)が盛んに行われていました。しかしながら、最近では、「瓶ビール」は居酒屋か、大手酒販店でしか、お目にかかれなくなりました。コカ・コーラ等の瓶製品も、ライブハウスくらいでしか、置いていないです。
「リユース」の方が、「リサイクル」より優先順位が高いことは、以前に書きました。「リサイクル」の中でも、同じ用途に使用される方が優先順位は高いです。
”飲料用PETボトル”から”飲料用PETボトルへのリサイクル”が、ようやく進み始めました。次のステップである「飲料用PETボトルのリユース」は、日本で普及するのでしょうか!?
私は、引き続き、「リサイクル」「リユース」の動向をウォッチングしていきます。
日経エコロジー2012年4月号の特集記事は、「儲かるCSR~社会価値で成長する」です。
CSR(企業の社会的責任)が問われる時代となり、ISO26000という社会的責任に関するガイドラインの国際規格も生まれました。
この記事によれば、日本のCSRは、「CSR2.0」というステージに入っているとしています。
「CSR1.0」は、慈善活動として本業とCSRが切り離されている段階です。NPO(非営利組織)への寄付など、お金を払うことが企業に求められました。私の感覚では、まだまだ、日本企業はの多くはこの段階、この段階に達していない企業も多いと思います。
「CSR2.0」は、「本業を通じたCSR」です。確かに、私もこのステージに入っている日本企業は増えてきていると思います。日経エコロジーの記事では、例として、トヨタ自動車が昨年12月に発売してヒット中のハイブリッド車「アクア」、パナソニックの米からパンを作ることができる「ゴパン」(旧・三洋電機が開発)のヒットを挙げています。「アクア」は、ハイブリッド車で最高の燃費を達成し、「環境保全に寄与」します。
「ゴパン」の開発者には、稲作兼業農家の人もいるそうで、「ゴパン」は「稲作文化を守る」という社会的意義があります。
「CSR3.0」では、「本業とCSRを統合する」ステージです。なかなかこの領域に企業が達することは難しいかもしれません。「売り手」「買い手」「世間」の3つに貢献するステージです。従業員のモチベーションもアップしていくことでしょう。
CSRのステージを上げていく際のキーワードとして、「コーズ・リレーティッド・マーケティング(CRM)」が挙げられています。「コーズ・リレーティッド・マーケティング(CRM)」とは、平たく言えば「良いことと思われることと関連づけた販売促進」といったところでしょうか。
例えば、王子ネピアは、トイレットペーパーやティッシュペーパーの売上の一部をユニセフに寄付し、途上国にトイレを普及させる支援活動に充ててもらうようにしています。途上国では、毎年100万人を超える子供たちが、汚れた水とトイレの不備からお腹を壊し、命を落としていますので、この改善に寄与しようという活動です。
これからの時代、環境法規制等の法令順守(コンプライアンス)は、生き残るうえで、必要最低限のことだと思います。
本業とCSRを結びつけていくことによって、企業が成長し、企業活動とCSRが一体化する時代へと移行していくと思います。
私自身も、単に環境マネジメントシステムを中心とした審査員・コンサルタントから、経営コンサルタントの国家資格「中小企業診断士」の有資格者として、CSR経営を支援していくようにしたいと思っています。
ISO26000の勉強会に参加しているのも、CSR経営を支援していける人材になるためです。ISO26000自体は、ガイドライン規格であり、ISO14001のように認証取得を意図した国際規格ではありません。ISO26000自身に直接関連するビジネスというのは、現時点では考えにくいです。しかしながら、CSRの重要性は増していく時代の中、ISO26000に書いてある「理想像」にどれだけ近づけるかが、ポイントになっていく時代になると、私は考えています。
ISO14001という環境マネジメントシステムの国際規格が発効したのは、1996年ですので、今年で16年になります。
日本において、環境マネジメントシステムに関しては、ISO14001に基づく認証登録件数が25000件くらいと推定されていて、最も件数が多いです。次いで、環境省規格・エコアクション21の認証登録件数が7000件強、エコステージの認証登録件数は1000件くらいでしょう。
最近、「環境マネジメントシステムの認証を取得したけれど、企業経営にメリットがない」という理由で、認証を返上される動きも出てきており、私にとっては頭が痛いところです。
なぜ、認証取得しても、企業経営にメリットが出ないのでしょうか?
いろいろ原因があると思いますが、最大の原因は、「ISO14001等の規格は”企業経営改善のツール”にすぎないのに、ツールに合わせようとして”企業が振り回されている”こと」と思っています。
私は、経済産業省登録・経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」の資格を取得してから、環境マネジメントシステムの認証業務に関する審査・コンサルティングの世界に入りました。
私が審査やコンサルティングで最も重点を置いている視点は、「環境マネジメントシステムが、企業経営に役立つにはどのように審査・コンサルティングするべきか」という視点です。
表現を変えると、「企業経営に役立つように、ISO14001等のツールをどのように使うと有効か」という点を重視しています。
審査に行くと、やたらと”沢山の文書や記録”を作っている企業・組織に遭遇します。いろんな文書・記録で”がんじがらめ”になっている状態です。過去の審査員の指摘で、不幸にも文書・記録の山になってしまったケースもあります。また、認証取得だけを目指したコンサルタントが、沢山の文書や記録を作ってしまった不幸なケースもあります。文書・記録の山にうずもれているような企業・組織は、たいがい「環境マネジメントシステム認証が役に立たない」と愚痴をこぼしている場合が多いです。
私がコンサルティングをするときは、文書は必要最低限しか作成しません。最近コンサルティングが終了した企業では、私が作成した文書は5つだけです。他は、「既存の文書や記録を改訂する」ことによってISO14001の要求事項を全てカバーしました。幸い、評判の高い審査機関だったので、無事に是正処置要求ゼロで認証取得されました。
審査員の方から「新たな文書作成を極力抑えてあるのに、ISO14001の要求事項は全てカバーされています。企業経営活動にリンクする、良い環境マネジメントシステムです。良いコンサルタントが就かれたのですね。」とお褒めの言葉も頂きました。
私は、企業経営に役立つ環境マネジメントシステムは、本業とリンクしていないと機能しない、と強く思っています。
「ISO14001等の規格要求事項に業務を合わせるのではなく、企業経営の中に規格要求事項を取り込む」という観点で環境マネジメントシステムを構築し、運用していくことが最大の重要ポイントだと思います。
「ISO14001等の認証取得だけが目的」になってしまうと、規格要求事項に振り回された「動きの悪い環境マネジメントシステム」になりかねません。もちろん、ヨーロッパ等と取引しようと思ったら、ISO14001の認証取得が取引条件になることが多いため、認証を取得するというケースが多いのは確かです。
そのような場合でも、「あくまでもISO14001等は、経営改善のツールにすぎない」という視点を忘れないでいただきたいと感じています。
少々抽象的な記事になりましたので、今後、もっと具体的な話を書きたいと思います。
私がコンサルティングした化学工業A社が、ISO14001の初回認証登録審査を受けたときの出来事です。
審査の最終日の午後、A社の担当者Bさんから、私の携帯に電話がかかってきました。何やら、Bさんの様子がおかしい。
Bさん「田坂さん、大変です。審査員が”環境側面”のところで、”環境工程図”を作っていないのは”重大な不適合”だと言って、暴れています!どうしたらいいでしょうか?」
私は、「いまどき、こんな相談を受けるとは」を思いながら、Bさんに言いました。
私「Bさん、大丈夫ですよ。そのような”化石”のようなヘンな審査員を”一発で撃退する方法”を伝授しますから」
Bさん「えっ!本当ですか!」
私「Bさん、最終ミーティングのときに、その審査員に”それはISO14001の規格要求事項のどこに抵触するのですか?”と言うだけで結構です。それで”一発で撃沈”できますから、御安心を。その審査員は、電機か機械業界出身の方ですよね?」
Bさん「確かに機械業界出身です。田坂さん、よくわかりますね。”技術専門家”とかいう人も来てますが。ところで、”環境工程図”とは何ですか?」
私「”環境工程図”というのは、電機・機械業界のように、製造工程が長い業界でよく使われている手法で、工程毎に、投入される物質、排出される物質をまとめていく図のことです。御社のように、化学反応装置にいろいろな製品を仕込んで化学反応させて、1工程で多種の製品を作り分ける業界には作る意味がない手法なので、私は作ることのアドバイスをしなかっただけです。ISO14001規格には、”環境工程図”を作ること、という”要求事項”はありませんから大丈夫ですよ。」
Bさん「そうですかぁ~。安心しました。そのように言ってみます。」
夕方になって、Bさんから私の携帯に再び電話がかかってきました。
Bさん「田坂さん、ありがとうございます!田坂さんのアドバイス通りに答えたら、指摘事項を取り下げてくれました。不適合・是正処置要求事項:0件で合格しました。」
というわけで、A社はめでたく、ISO14001認証を取得され、「環境にやさしい取り組みをする企業という”お墨付き”」を手に入れられました。
審査員は、あくまでもISO14001に基づく審査であれば、ISO14001という国際規格に基づいて審査をしなければいけない、これは審査の「基本中の基本」です。しかしながら、自分の経験した内容をやっていないと「不適合・是正処置要求」と暴れてしまう困った審査員がいらっしゃいます。そのような方は、20世紀で「恐竜」のように滅びたと思っていたら、21世紀になって10年以上経つのに、まだ「化石のような審査員」が生息していました。私がアドバイスしなかったら、A社はどうなっていたのやら!?
最近、ISO14001の審査料金を安い価格に設定している審査機関が出てきています。このケースの場合は、まさに「安かろう、悪かろう審査機関」の典型です。
ISO14001の認証を取得しようと考えておられる組織、安い審査機関に乗り換えようと思っておられる組織の方は、「料金が安い審査機関は”安かろう、悪かろう審査”になる”覚悟”を持たれるならば、安い審査機関を選定されてください」、と提言しておきます。
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